こんにちは、ばななです。
「将来、年金は破綻するって聞いたけど大丈夫?(いや、もう破綻しているとも・・・)
「国がNISAやiDeCoで資産形成を促しているのって、国が年金破綻を認めたってことじゃないの!?」
「この国は終わりだよ・・・」
こんな話をネット上でも井戸端会議でも、なんならメディアでだってみんなが騒いでいます。
そういう僕も資産形成を始めた理由は老後不安だったりしたわけですが、
”年金と投資はそもそも目的が違う”、”年金って思っているより優れた制度”だという事を学んだので今日はそれについてなるべく簡単に話していきたいと思います。
※僕は社会保障のプロでも何でもないタダのばななです。
少々極端な言い方になっている個所もあるかと思いますので、本格的に勉強したい方はご自身で本を読むなどして知識を付けていただければと思います。
権丈善一さんの「ちょっと気になる社会保障」という本がオススメです。
権丈さんは社会保障審議会年金部会という部会のメンバーで、年金の運用や制度についてめっっちゃ詳しい先生です。
年金で生活できない≠年金破綻
世間では「国民年金だけじゃ生活できないよ!年金は破綻している!」と言う人がいますが、これは間違いです。
そもそも国民年金は”ブースター”の役割だそうで、初めからそれだけで生活をしていける前提で設計されていません、と慶應義塾大学商学部教授の権丈善一先生は言います。
国民年金第一条には、「国民生活の安定がそこなわれることを・・(中略)・・防止し、」と書かれているように、目的は防貧です。
端的に言えば初めから国民年金とは『年金があれば老後は遊んで暮らせますよ~』というものではなく、『年金でサポートはするからあとは頑張ってね~」という制度なわけです。
それでも年金未払いは損な理由
「それなら年金なんて入りたくない!自分で貯めていた方がマシだっ!」
という風に考える方もいるかと思いますが、ちょっと待ってください。
そもそも損得で考えるものではない、という前提はあるうえでお伝えしますが、年金未払いは損をしますよ。
なぜなら国民年金の支給額の半分は国庫負担、つまり税金が賄われているからです。
皆さんは普段、消費税を支払っていますよね?年金を受給できる人はその一部が年金というカタチで返ってきます。
端的に言って、年金を未払いにしている方は消費税の払い損だともいえるわけです。
そもそも損得ではなく、年金は保険
年金のそもそもの目的は少しでも儲ける事ではなく保険にあります。
一般に年金と聞くと老齢年金ばかりが思い浮かびますが、障害年金、遺族年金と役割は3つあります。
細かな要件は割愛しますが、それぞれ名前の通り
障害年金は障害を負った人が受給できる、遺族年金は万が一自分が死亡した時に遺族が受給できる年金です。
そして老齢年金は何に対しての保険かというと、長生きリスクに対する保険です。
今は健康な人でもいつ事故や病気で障害を負ったり、死亡するかはわかりません。
それに健康な人ほど長生きリスクは高まるので、健康に自信がある人も無い人も全員加入するべきなんです。
以上の理由から、年金は計算式をこねくり回して利回りを計算するものではなく、不確実性(uncertainty)に対応できるものなんですね。
年金の世代間格差について
「今の老人はたっぷりと年金を貰っているのに、自分たちの世代が高齢になった時には貰える額が少ないと聞いたぞ!ズルい!年金の世代間格差だっ!」
という意見もありますよね。
この指摘はある意味で正しく、少子高齢化の今、旧型の制度のままでは指摘の通り世代間格差はあります。
しかし、下記の2つの理由から、過度に悲観的になって年金を攻撃する必要がないことがわかります。
1 マクロ経済スライドの導入
日本の年金システムには”マクロ経済スライド”という仕組みが導入されています。
マクロ経済スライドとは、本来は物価に連動している年金の支給額を、物価上昇時(まさに2023年のインフレのような)に年金の支給額の上昇率を抑える仕組みになります。
上記の説明がややこしければ、ここはひとまず『少子高齢化の影響を高齢者と若者で痛み分けしている』と考えてもらえばいいかと思います。
少子高齢化でなおかつ寿命も延びている今、旧型の制度のままでは維持が不可能なことは目に見えています。
その代償を今の若者世代が負うのか、今の高齢者にも負担してもらって将来の高齢者(今の若者やまだ生まれていない将来の若者)への負担を和らげようとするのかという違いですね。
年金の恩恵は今の若者世代も受けている
実は今、高齢者が受給している年金から私たち若者世代も恩恵を受けています。
なぜなら年金のおかげで自分の親への金銭的な援助が必要では無いケースが多いからです。
僕にはフィリピンで暮らしているフィリピン人の友達がいますが、彼らは20歳そこそこにもかかわらず、大学で授業を受けた後、夜中まで家族の為に仕事をしなければならないと言っています。
一部の人は、大学に行けるくらい優秀で勉強を頑張りたいにもかかわらず、親への金銭的な援助が必要なので夢だった留学をあきらめたりしています。
あなたが親への金銭的な援助に縛られることなく、自分の為に資産形成したり、留学したり、起業に挑戦できるのは年金制度があるおかげともいえるわけですね。
今後どうすればいい?
ここまで読んでくださったあなたなら年金は案外悪くないものだと気付いて頂けたと思います。
ですが、当然課題はまだまだあります。
社会的な対策
社会的な対策はシンプルに、「国として成長する」「働く人を増やす」になります。
その際に、
・65歳or70歳以降も働く
・移民を受け入れる
・イノベーションへの期待
などの方法がありますが、これは国民全員で選んで方向性を決めていく問題ですね。
個人での対策
年金は捨てたもんじゃないとはいえ個人レベルでの対策は必須です。
・投資などで資産形成
・本業で昇進する(報酬比例部分の年金が増える)
・65歳、70歳以降も無理なく働ける仕事を見つけておく
(現役時に手取り30万/月以上稼ぎ続けるのと、老後に年金のブースター+5~10万/月で生活費を稼ぐのでは負担は天と地ほどの差ですね)
等があるかと思います。
まとめ
年金には不確実性に対応できる力があり、そんな年金を未払いにすることの方がリスクが大きい気がしてきますよね。
もっと詳しく知りたい方は、FP3級(ファイナンシャルプランナー)の試験を受けてみたり、冒頭に紹介した権丈善一先生の本を手に取ってみることをオススメします。
FPは年金に対する基礎知識、権丈先生の本はさらに知識を深めたい時に助けになると思います。
過度に未来に不安になることなく、個人で資産形成もしながら今を充実させるためにもお金を使っていきましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。